患者さまが自分の人生の主人公になることのできる医療とは(その2)

医学・医療

初代ブログで2018年6月15日にアップした記事です。

 今日は「患者さまが自分の人生の主人公になることのできる医療とは」のその2です。

 その1では、患者様が自分の人生の主人公になれていない原因について考察しました。
 今日はその続きです。
 今日のキーワードは「対等」です。


医師と患者は、人間として対等

 私は、医学生の頃から医師と患者は対等であると考えていたように思います。医師は、豊富な医学知識を持ち、治療の技術を持っていますから、たしかにその点では患者よりも上でしょう。でも人間として優れているわけではないし、患者が劣っているというわけでもありません。医師は患者さんの人生や価値観に敬意を払い、尊重しなければなりません。医者は、知識や技術を駆使して、患者に仕えるべき存在です。対等なんですから、医師は患者に対して、命令や指示をしたり、束縛することはできません。医者がするのは、よくわかるように説明をしたり、助言をしたりすることのはずです。助言や説明を聞いたうえで、どのような治療を受けるのか、どのような生き方をするのかは、患者さんが自分で決めるのです。

なぜ対等を意識する必要があるのか

 たいていの患者は、医師に対して遠慮やひどい時には恐れを感じています。特に入院中だったりすると、医者の機嫌をそこねたら、ちゃんと診てもらえなくなるのではないかと心配されることが多いのではないでしょうか。遠慮や恐れがあると、思っていることが言えなくなります。そうなると、患者の正確な状態が医師に伝わりにくくなって、治療が不適切になることもあります。患者の気持ちがわからないと、患者が自分の人生の主人公になることはなおさら難しくなります。

どうしたら対等になれる?

 医者はもともと患者よりも優位な立場にあるのですから、意識的に自分を下げるぐらいでないと、とても、対等な関係にはなれません。
 私は自分を下げるためにしていることがいくつかあります。まずは偉そうにしないことですね。姿も姿勢も態度も、意識してあまり医者らしくないようにしています。私は、よく人から医者らしくないと言われるのですが、自分に対するほめことばだと思って、喜んでいます。それから、相手を見下ろすような位置に立つのではなく、同じ目の高さになるように心がけています。できるだけ患者さんに自由に話してもらうようにして、話をさえぎらないようにします。患者さんが何を言っても、「でも」とか「そうは言っても」などの逆接の言葉を使わないようにします。「無理です」とか「ダメです」みたいな否定的な言い方も避けるようにしています。

(続く)

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