教会の中の人間関係で傷つけられないために(その27)(完)

<劇薬注意! 教会は使用上の注意をよく読んで、副作用に注意して、正しく使いましょう。>

 私は医者として働いています。
 医者は患者さんに対して治療のために薬を処方します。
 世の中には非常にたくさんの種類の薬があります。
 よく効く薬もあれば、効いているのか効いていないのかよくわからないような薬も実はたくさんあります。
 私は、薬を処方する時には、よく効く薬を処方したいと思っています。
 そんなの当たり前じゃないかと思われる方が多いと思います。ですが、本題から離れ過ぎるので詳しくは書きませんが、実際にはあまり効かない薬を処方する医者も多いのです。

 世にある薬で、一番よく効く薬は、全身麻酔の時に使われる薬だと思います。
 私は、麻酔科標榜医の資格も持っていて、手術の際の全身麻酔も今までにたくさんかけてきました。
 全身麻酔の際に使われる薬にはいろいろなものがあります。
 眠らせる薬、痛みを感じないようにする薬(麻薬)、筋肉を弛緩させる薬、血圧を上げる薬、下げる薬、利尿剤、その他もろもろです。
 これらの薬を使うと、すぐに効果が現れ、薬を止めると速やかに効果が切れます。
 実に切れ味よく、鮮やかに効きます。
 麻酔に使うこれらの薬はたいてい劇薬です。
 効果は鮮やかなのですが、使い方を誤ると、命に関わるようなとんでもないことが起こります。

 一般に、効果が劇的な薬ほど、副作用は大きいという傾向があると思います。

 薬のことを長々と書いてきましたが、教会(キリスト信仰)も劇薬と似ていると思うのです。

 教会に行って、キリストを信じると、鮮やかに、劇的に、人生観や価値観、生き方が変わって、いろいろな問題が雲散霧消する可能性があります。
 ですが、教会の使い方を誤ると、深い傷を受けたり、命に関わるようなとんでもないことが起こることもあるのです。

 このシリーズでは、教会の中で起こる問題をたくさん取り上げてきました。
 教会というところが、そんなに問題の多い、危険な場所なのだったら、行かない方がましだと思われたかも知れません。
 ですが、教会(キリスト信仰)には、人生を素晴らしく変え、自分やまわりの人に最高の幸福をもたらし、どんな問題をものりこえさせるものすごい力があるのです。

 簡単なことです。薬といっしょで、「教会は使用上の注意をよく読んで、副作用に注意しながら、正しく使いましょう。」ということです。
 注意すべきポイントを知って、慎重に使うなら、必ず素晴らしい効果をもたらしてくれるのです。

 私は、効くか効かないかわからないような薬を患者さんに薦めはしません。
 ですが、教会は効果が確実で絶大な劇薬なのです。迷うことなくすべての人にお薦めします。

(シリーズ「教会の中の人間関係で傷つけられないために」 終わり)

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