「メディカル・サポート・コーチング入門」から(その14)

<質問するスキル(6)>

 〜〜塊をほぐす、塊を再構築する〜〜

 相手が話してくれた言葉のうしろには、いろいろな背景、事情、経緯があるはずです。
 また一言では語り尽くせないいろいろな思い、考えがあるはずです。
 そういったものを、オープン型質問を使って、少しずつ聞き出して、話してもらいます。
 そうして、相手の思い、考えをできるだけ具体的に知る過程を、「塊をほぐす」と表現します。

 例えば、相手が「最近とても調子がいいんですよ。」と言ったとします。
 「どんなふうに調子がいいのですか?」「何をする時そう感じるのですか?」「何かきっかけがあったのですか?」など、質問します。
 すると、相手は「朝すっと起きられるし、ごはんがおいしい。仕事にも集中できる。」「イライラしない。」「最近、大きい仕事をうまく完成させることができた。それで夜ふかしせず早く寝るようになった。それがきっかけかも知れない。」のように話が広がり深まっていくかも知れません。

 相手の思いや考えがわかってきたら、それをまとめて、相手に
 「これこれこういうことで、あなたはこのように感じておられるのですね。」と相手に投げ返します。
 相手から聴いたいろいろなことをまた一つにまとめることを「塊を再構築する」と表現します。

 先ほどの例では、
 「あなたは、今、夜ふかししないので、朝も快調で、仕事もはかどる。気分も穏やかという感じで調子がいいんですね。」と再構築して、相手に投げ返します。
 もし、自分の理解でちょっと違うという点があったりしたら、相手が訂正してくれて、より正しい理解に近づいていけるのです。
 では、オウム返しというスキルを説明しました。
 これは文の単位で、相手の言ったことを相手に投げ返すものです。
 オウム返しをされることで、相手は話を聴いてもらっていると感じることができます。

 今日の「塊をほぐす、再構築する。」というスキルはストーリーの単位でのオウム返しとも言えると思います。このような聴き方をされると、相手は、心から真剣に話を聴いてもらったと感じることができますし、相手の考え、思いを正確に理解することにつながります。これにより、より深い共感につながりますし、共に問題解決に向かって歩みだすことともなります。

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