診療、看護、介護に生かす聖書の人間観(その37)

<四つの死>

 今日は「四つの死」をテーマに書きます。
 この概念は、直接聖書から派生するものではないのですが、聖書の価値観とぶつかるようなものではないし、このシリーズの内容につながるものなので、紹介します。

 数年前にアルフォンス・デーケン先生の講演を聞きました。
 この先生は、上智大学名誉教授で、専門は死生学です。
 先生の講演の中で、人間には四つの死があると聞きました。

 第一は心理的な死です。
 私なんか、生きていてもしょうがない。何もする気が起こらない。などのような心理状態になったなら、それは心理的には死んでいることになります。

 第二は社会的な死です。
 社会から切り離され、人と会わず、会話せず、行動をともにすることもなく、心を通わせることもないような状態です。

 また、社会的な役割、責任がなくなり、社会的にはその存在がゼロとみなされるような状態です。
 このような状態になったら、社会的には死んでいることになります。

 第三は文化的な死です。
 生きているにもかかわらず、芸術に触れることも、文化的な営みに関わることもないような状態になる場合があります。文化的な潤いと無縁な状態になったら、それは文化的に死んでいることになります。

 第四は生物学的な死です。
 これは心臓が止まった時に起こる死です。

 在宅療養をされる方や在宅ホスピスの患者さんなどの療養生活の質を上げるためには第一〜三の死についても、留意していく必要があるのです。

2018/9/26 目次の目次
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