「メディカル・サポート・コーチング入門」から(その6)

<聴くスキル(1)>
 〜〜ゼロポジション〜〜

 コーチングはアメリカで生まれたものなので、いろいろな用語が英語になっています。
 ゼロポジションとは、ゼロの状態、何もない状態、まったく中立な状態という感じだと思います。

 ゼロポジションを実現するためのスキルがいくつかあります。

 (1) 相手のことや会話の内容について、できるだけ事前に先入観を持たずに聴く。
 (2) 相手がしゃべっている間、できるだけ自分の思考を抑えるようにする。評価しない。自己解釈しない。
 (3) 相手が話している間は口を挟まない。特に相手の最後の言葉までしっかり聴くことを自分に義務づける。
 (4) 否定的な接続詞を使わない。「でも」「しかし」「だけど」などを極力排除する。
 (5) 沈黙が訪れても、自分からは話さない。できるだけ待つ。沈黙は相手が話すことを考えるための貴重な時間。
 (6) 自分の話に取り込まない。自分が話し手になろうとしない。
 少し補足します。

 (2) について
 私たちは、人の話を聞く時に、「あなたの考えはおかしい」とか「こうすればうまくいくのに」とか考えながら聞いてしまいがちだと思います。
 コーチング流の「聴く」では、相手の話をできるだけ正確に聞き取ることに集中して、聴きながら自分の評価を考えたりしないようにします。

 (6) について
 私たちは、人の話を聞いた時に「わかる。わかる。私も似たようなことを体験したんですよ。私の場合はこんなこんなで・・・」のように、相手の話を聴くはずが、気づいてみたら自分がしゃべってばっかりとかいうふうになりがちです。
 こんな状態だと、相手は、「この人にしゃべっても無駄。」と感じるようになり、話すことをやめてしまいます。こうなると問題の解決にも関係を深めることにもつながりません。

 人は、悩みや苦しみを持っていても、相手がゼロポジションの聴き方をしてくれたら、それだけで、悩みや苦しみが軽くなったりするのです。

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