「メディカル・サポート・コーチング入門」から(その16)

<伝えるスキル(2)>

 〜〜メッセージはI(アイ)で伝える〜〜

 たとえば、頑張っている人をほめるメッセージを伝える時、主語によって3種類の伝え方があります。

A 「あなたは頑張っていますね。」
B 「私は、あなたが頑張ってくれるので、とてもうれしいです。」
C 「私たちは、あなたが頑張ってくれるので、助かっています。」

 Aは「あなたは」が主語なのでYOUメッセージと呼びます。
 Bは「私は」が主語なので、Iメッセージと呼びます。
 Cは「私たちは」が主語なので、WEメッセージです。

 主語が違うと相手への伝わり方が違ってきます。

 一般にYOUメッセージは、「あなたは〇〇だ。」という言い方になるため、断定する、評価する、決めつけるといったニュアンスが強くなります。
 言われた相手にしてみると、お世辞に聞こえたり、皮肉に聞こえたり、下心があると感じられたり、誤解されているとか私のことをちっともわかっていないと感じられたりすることもあります。

 それに対してIメッセージは、「私は、〇〇によって、〇〇になった。(〇〇という影響を受けた)」という言い方です。
 私の中で起こったことを相手に話しているのですから、相手はその言葉を否定することができません。自分が評価されていると感じる余地がないのです。
 YOUメッセージと比べると控えめな言い方に聞こえるかも知れませんが、Iメッセージは意図したことが100%受け取られる安全な言い方です。

 WEメッセージは複数の人が主語になる言い方です。多数の人の意見ということになるので、慎重に使うほうがいい表現です。
 肯定的な内容を伝える場合はまだいいのですが、否定的な内容をこの言い方で伝えられるととてもダメージが大きくなります。「みんな、お前のことで迷惑している。」みたいな言い方です。
 ふだん、意識しないと私たちはYOUメッセージを使いがちだと思います。
 YOUメッセージが必ずしも悪いというわけではないのですが、ここぞという重要な場面では、Iメッセージによって、思いを伝えるといいと思います。

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